【気密性能は、なぜ必要?】

最近、気密測定を希望する方が、前年の2倍に増えています。

それは、気密が低いと建物の断熱性能が生かされないということが浸透してきたからだと思います。実際に、計算上、断熱性能(平均熱還流率Ua値)は、良いのに寒い。という声がありますが、その原因の一つに建物の気密性が低いことがあります。

下の写真は、冬に気密が低い箇所から外気が流入している赤外線画像の一例です。断熱材だけでは、暖かさは、担保されないのがよくわかりますね。

エアコンからの漏気画像

【換気システムと気密】

確かに、せっかく高性能な断熱材や換気システムを使っても、隙間が空いていたら冷たい外気が入ってきて寒いですし、省エネ効果もなくなってしまいます。

また、第3種換気システムは、目的が空気環境の改善ですが、C値は、2.0㎠/㎡以下が理想とされています。

このように、機械換気を計画通りに機能させるために気密性能は、重要と考えられています。

【煙突効果】

気密性能が重要な理由として、煙突効果もあります。

建物の内外に温度差があるときに暖かい空気は上に行くことで、建物の上の方では外に向かう圧力が生じ、下の方では内に向かう圧力が生じます。このため、気密が低いと建物の上の方では、空気の流出が起こり、同時に下の方では外気の流入が起こります。これを煙突効果と言います。

床下からスースーした風を感じるといった現象もこの煙突効果の一つです。このように、気密が取れていないと、より、多くの外気が床下から入ってきます。外気温が下がり、室内との温度差が大きくなると、煙突効果は増長され、床からより多くの冷たい外気が入り込んでくる為、より寒くなります。下図は、煙突効果のイメージ図です。

【結露対策】

さらに気密性能が必要な理由として、結露対策があります。弊社は、結露調査も行いますが、気密が低いことで結露が発生する事例があります。

【夏型結露】隙間から外気が入り込んでくるところは、室内の空気と接触する際に結露を起こす原因にもなります。最近は、猛暑の影響で湿気のある夏の外気が室内の冷房と接触する際に結露やカビが発生したりしています。

【冬型結露】二種換気システムの場合、断熱性と気密性が低いと、冬は煙突効果によって、最上階の給気口が機能せず、結露やカビが発生することがあります。

【気密性能】

建物の気密性能は、建物にどのくらい隙間が空いているか?を数字で表します。これを相当隙間面積(C値(㎠/㎡)といいます。単純にいうと建物全体の隙間面積(αA値:総相当隙間面積)を床面積(気密測定用の床面積の計算方法がJISで決められています)で割った数値です。

[気密測定のタイミング]

気密測定のタイミングは、中間時(気密工事後)の気密測定と完成時の気密測定がございます。中間時の気密測定のタイミングは、気密の取り方によって異なってきます。

中間時の気密測定のタイミングがわからない方は、一般的な事例をまとめた資料がございますので、お気軽にお尋ねください。

①中間時(気密工事後)の気密測定

建物の構造的な気密性能が把握できる測定で、隙間の是正が可能なタイミングです。一般的には、気密ラインができた時点に行います。

通常は、朝から準備に入り、機材のセッティング、目張り作業を行い、1.5時間~2.0時間後に最初の測定を行います。1回の測定時間は、10分~15分です。

最初の測定でご希望の数値が出ない場合、お客様と現場の方が希望されれば、気密測定器のファンを回して室内の空気を外に送り出し、建物を負圧にして隙間を探していきます。
建物を負圧にすることで、隙間から空気が入り込んできますので、手を当てれば、すぐにわかります。吹き抜け天井の高所など、手が届きにくいところなどは、高性能な赤外線カメラで隙間を見つけることもあります。(赤外線カメラは、主に冬に使用します。)

隙間が分かったら、請負会社の方に隙間の是正をして頂き、処理が済んでから再測定します。ご希望のC値に達成したとき、または、目立った隙間が無くなりましたら最後に測定をして終了という流れです。

また、その場で隙間の是正をせず、後日、隙間の是正処理をする場合は、漏気箇所を報告書に記載します。

後日 是正する場合
気密測定報告書
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このように、気密測定と言っても、ただ気密性能を測定をするのではなく、無駄な漏気を探して是正をするという目的があります。

また、中間時の測定値より、完成時の結果は良くなることもあれば、悪くなることもあります。なるべく良い結果になるように、完成までの工事の注意点をその場で説明させていただきます。

報告書には、最後の測定結果を記載させていただきます。

この為、気密工事に不慣れな施工会社の方でも、あまり心配することはありません。

また、気密測定は、何回おこなっても追加費用は、頂いておりません。

②完成時の気密測定

完成時の気密測定は、「中間時(気密工事後)の気密測定」のあとに開けた電気配線などの穴がしっかり処理されているかを確認するための測定です。

通常は、朝から準備に入り、機材のセッティング、目張り作業を行い、1.5時間~2.0時間後に最初の測定を行います。

一回の測定時間は、1回10分~15分です。
JIS規定により、完成時の測定は、3回行い、3回の平均値をC値として、報告をさせて頂きます。

時々、中間時の測定値が完成時に悪くなることがあります。

完成時では、その場で是正できる範囲は狭くなってしまいますが、中間時(気密工事後)の気密測定後に開ける電気配線や設備回りの漏気を予防する効果がありますので、なるべくでしたら測定をすることをお勧めします。

《スモークテスト》

通常、隙間探しは、手などをかざすことで、誰でも隙間を見つけることが出来ますが、より細かな隙間を探すときや基礎断熱の場合には、スモークテストを行うことがございます。

床断熱の場合は、床下にスモーク(火気ではありませんので安全です)を入れて、気密測定のファンを回して建物を負圧にすると、床・コンセントなどの隙間からスモークが出てきます。これによって床付近に空いている少しの隙間も見つけることができます。

一方、基礎断熱の場合は、床下にスモークを入れて、加圧法で空気を室内に送り込んでスモークテストを行います。基礎回りに漏気箇所がある場合は、隙間から外にスモークが出てきますので、漏気箇所がすぐに分かります。

スモークテストをご希望の方は、別途、お申し込みください。

《気密性能を上げるための隙間探し》

以上のように、隙間探しの方法は、手の感触、赤外線サーモグラフィカメラ、スモークテストの3通りあります。動画にもアップしましたので、ご参照ください。

[大きな家や商業施設の気密測定]

弊社では、二世帯住宅や、商業施設の気密測定も行っております。建物が大きい場合は、気密測定器を2台以上組み合わせて行います。

C値が1.0㎠/㎡以下の高気密物件の場合でしたら、500㎡~1,000㎡くらいの建物まで測定が可能です。まずは、メールかお電話でお問合わせください。

[気密測定の費用]

新築時の気密測定の価格は、以下の3つのパターンがあります。

《パターン1》
気密・断熱工事終了時に実施:50,000円+消費税
建物の構造的な気密性能が把握できて、気密が悪い場合は是正可能範囲が広い状態です。

《パターン2》
工事完了時(お引き渡し前)に実施:JIS基準による3回測定→50,000円+消費税
完成時に行うJIS基準の気密測定です。最終的な気密性能が測定できます。
気密・断熱工事後に開ける電気配線や設備回りからの漏気を予防する効果があります。

《パターン3》
気密・断熱工事終了時と工事完了時の2回実施:100,000円+消費税
パターン1+パターン2の両方を行うパターンです。

(別途費用について)
① 気密測定の対象エリアは、関東全域となります。
下記エリアは、割増の交通費がかかる場合がございます。お見積もりをさせていただきますのでお気軽にお尋ねください。
東京都(南・西部)、神奈川県、埼玉県(中・北部)、千葉県南部、栃木県、群馬県、茨城県北部、山梨県
関東エリア以外の測定も行っておりますのでご相談ください。

② 赤外線サーモグラフィカメラによる隙間探しは無料です。(冬季のみ)

③ スモークテストを行う場合・・・床断熱の場合:2,200円(消費税含む)
                基礎断熱の場合:5,500円(消費税含む)

④ 床面積(JISルールに基づいた気密測定用の床面積)が150㎡を超える場合は、面積に応じて追加費用が掛かります。

[気密工事の指導]

気密工事が初めてであったり、慣れていない請負会社様に気密工事の指導をしてくれる会社をご紹介します。ご紹介する会社は、C値の保証はしておりませんが、今までご紹介した物件は、全て1.0㎠/㎡を下回る結果となっております。

請負契約後、早い段階であれば、充分に間に合いますので、ご相談ください。

[気密測定の報告書]

弊社は、一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構に登録された気密測定技能者従事事務所(登録番号 2035)です。
気密測定の結果は、報告書を提出いたします。

[断熱リフォーム前の気密測定]

断熱リフォーム前の気密測定も行っております。

基本費用は、60,000円(交通費・消費税別途)含む)
既築住宅の測定を行う際、隙間箇所を探し、是正の提案もさせて頂きます。

リノベーション前の事例
気密測定事例
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[加圧式の気密測定]

弊社は、通常、減圧式の気密測定を行いますが、クリーンルームやほこりの侵入を防ぎたい場合に採用する二種換気システムの物件では、加圧式の気密測定を行うことも可能です。
条件によって測定範囲が変わりますので、まずはお問い合わせください。

[主な気密測定の実績(敬称略)]

◎住宅メーカー各社(住友林業株式会社、三井ホーム株式会社、ミサワホーム株式会社、積水ハウス株式会社、旭化成ホームズ株式会社、ダイワハウス、パナソニックホームズ、住友不動産株式会社、ヒノキヤグループ、住宅情報館、タマホーム、ヤマダホームズ、オープンハウス等)

◎高気密高断熱住宅会社(Wellnest Home、ヤマト住建)
◎他住宅ビルダー各社 ほか

【その他の断熱に関する診断】

弊社は、気密測定の他に、外壁の熱貫流率(U値)測定、赤外線カメラによる断熱材の欠損調査建物の平均熱貫流率(Ua値)の計算等も行っております。

【気密測定の指導】

これから気密測定の技術を身につけたいとお考えの方へ、実際の気密測定に立合って頂きながら、測定上の注意点、目張り方法、隙間の見つけ方、スモークテスト等の指導を致します。

指導は有償となりますので、お問い合わせください。

【ご依頼方法】

気密測定は、一般のお客様はもちろん、建築会社、設計事務所の方からもお受けしています。

測定日は、平日でも土日でも構いません。早めにご連絡を頂けると、ご希望に合った日程でお伺いいたします。
お施主様が立会いの際は、事前に請負い会社様とスケジュールをすりあわせの上、ご連絡くださいますようお願い申し上げます。